【耐震】年代によって異なる耐震基準〜家の耐震性能は大丈夫？〜

耐震性能は、人命に関わるため、最も大切と言ってもいいぐらい重要な性能です。

何も知らずに旧耐震の家を買って後悔した、とならないように、これから新築で家を建てる方も、中古で住宅を購入する予定の方も、建物の耐震性能は必ず確認しておきましょう。

耐震基準とは？

耐震基準とは、地震より人命を守ることを目的に、建築基準法により定められている最低限クリアすべき建物の構造基準です。

規模によりますが、この建物は必要な耐震基準を満たしています、と確認申請で許可が下りないと建築することができません。

過去には設計者による構造計算の偽装問題もありましたので、構造の確認は厳しくなっていく傾向にあります。

改正変遷

全国一律の耐震設計が義務付けられたのは1950年の建築基準法制定からです。

その後、何度か大地震が起こり、損傷した建物を検証して基準が改正されました。

昨今までに大きく変わったターニングポイントが2回ありますので、ご説明させていただきます。

旧耐震基準

1950年の建築基準法制定で定められた最初の耐震基準は旧耐震基準と呼ばれています。

・時期：1950年から1981年5月31日まで
・想定される地震：震度5強程度の地震 
・耐震性能:：震度5強の地震に対して倒壊しない耐震性能

該当するのは2025年時点で築約44年以上のため、まだ世の中には旧耐震基準の建物が多く残っています。

近年は震度6や7の地震が起きることも珍しくないため、震度5強で倒壊しない強度ですと少し心許ないです。

新耐震基準

次に、2000年に建築基準法施行令を改正した際の耐震基準が新耐震基準と呼ばれています。

・時期：1981年6月1日〜2000年5月
・きっかけ：1978年宮城県沖地震
・耐震性能: 数百年に一度発生する震度6強〜7程度の地震に対して倒壊・崩壊しない
　　　　　 数十年に一度発生する震度5程度の地震に対して構造躯体に損傷を生じない

震度5強の地震に対して倒壊しないのが旧耐震基準に対して、震度5程度の地震に対して構造躯体に損傷を生じないのが新耐震基準です。倒壊の方が被害が大きいので、旧耐震基準より厳しくなっていることがわかります。

2000年基準

さらに、新耐震基準を強化した基準が2000年基準と呼ばれています。

・時期：2000年以降
・きっかけ：1995年阪神淡路大震災（多くの木造住宅が倒壊、半壊したため）
・対象：主に木造住宅 

最近建てられた建物やこれから建てる建物は、基本的に新耐震基準を満たしています。

下記のような内容が強化されました。

・地盤調査が事実上義務化、地耐力に応じた基礎設計が明確化 

・柱と梁などの接合部に使用する金物の仕様が具体的に規定 

・耐力壁の配置バランスを計算する壁配置計算が求められる

耐震基準の確認方法（既存建物）

現在住んでいる住宅が「旧耐震基準」・「新耐震基準」のどちらかで建てられているのかは、「建築確認申請」が受理された日付で分かります。

「建築確認済証」に記載された日付が1981年5月31日までであれば旧耐震基準、1981年6月1日以降であれば新耐震基準で建てられた家であるということになります。

建築確認通知書がない場合は、耐震基準適合証明書などを取得して確認できます。費用はかかりますが、建築士事務所所属の建築士に依頼すると、診断と証明書の発行してもらえます。

旧耐震基準の家のデメリット

旧耐震基準の家に住み続けたり、購入することは以下のようなデメリットがあります。

・大地震時に倒壊や損傷の恐れがある。→人命被害
・将来的に建て替えや耐震補強が必要となる可能性がある。→コストがかかる
・住宅ローンの審査が通りにくい。→お金を借りられず家を購入できない可能性がある
・住宅ローン減税や贈与税の非課税制度の優遇を受けられない場合がある。

旧耐震の家を購入することで、将来的に建て替えや修繕費用がかかったり、優遇措置を受けられない場合は、トータルコストで損をする可能性もあります。
何より人命に関わりますので、新耐震基準または耐震補強されている家をおすすめします。

その他の基準

住宅性能評価

建築基準法とは別に、住宅品質確保促進法（品確法）が定める「住宅性能表示制度」では、建物の耐震性を示す指標「耐震等級」が定められています。

耐震等級は、第三者機関の審査を受けることで認定されますが、建築基準法で定められる耐震基準とは異なり、任意の制度になります。

「耐震等級」は3つの等級に分けられており、数字が大きいほど耐震性に優れていることを示します。

耐震等級1

建築基準法と同程度の基準

震度6強、7程度の地震でも倒壊しない

耐震等級2

耐震等級1の1.25倍の耐震性能

耐震等級3

耐震等級1の1.5倍の耐震性能

まとめ

耐震性能は、人命を守るための大切な基準です。

・中古物件を購入する場合、新耐震基準または耐震補強された建物がおすすめです。
・自分の家が旧耐震基準で建てられている場合、耐震診断を行い、必要に応じて耐震補強するとよいでしょう。
・耐震等級は2以上、できれば3を目標にしましょう。

安心安全に暮らすために、必ず耐震性能を確認しましょう！